平成16年4月1施行の改正民法]]により、滌除(てきじょ)制度をあらため、新たに導入された制度。
抵当権消滅請求制度とは、抵当不動産の第三取得者]]が、自分が適当と認める金額を債権者に呈示して、抵当権]]の消滅を要求することができる制度(民法]]第379条)。債権者がこの要求から2ヵ月以内に競売の申し立てを行なわない場合には、第三取得者が呈示した金額の支払いで抵当権が消滅することを債権者が承諾したことになる(民法第384条)。
抵当不動産の第三取得者]]からの請求により抵当権]]を消滅させることができるという仕組みには変わりないが、以下の点で滌除とは相違があり抵当権者の負担が軽減された。
- 滌除では、地上権者、永小作権者も請求権者となっていたが、抵当権消滅請求制度では、請求権者は、所有権者のみに限定された。
- 滌除では、抵当権者は、第三取得者から滌除の申出を受けた場合、1ヵ月以内に競売の申立てをしないと承諾したものとみなされていたが、抵当権消滅請求制度ではこの期間が2ヵ月となった。
- 滌除では、抵当権者が滌除の申出を断る場合、増加競売を申立てる必要があり、1割増で競落する人がいない場合、自分が買受人にならなければならなかったが、抵当権消滅請求制度では、抵当権者は、第三取得者から抵当権消滅請求がなされた場合、普通の競売を申し立てればよく、競落人がいなくても、自分で不動産を買取らなくても良いということになった。
- 滌除では、第三取得者に、滌除権行使の機会を保証するため、抵当権者が抵当権を実行する場合には、実行する旨の通知を第三取得者に行うものとされ、通知後1ヵ月待って抵当権の実行を申し立てることになっていたが、抵当権消滅制度では、抵当権実行手続きを遅らせないように、この抵当権実行通知は廃止された。
|