登記官は、不動産登記の申請があった場合において、申請人となるべき者以外の者が申請していると疑うに足りる相当な理由があると認めるときは、申請人又はその代表者若しくは代理人に対し、出頭を求め、質問をし、又は文書の提示その他必要な情報の提供を求める方法により、当該申請人の申請の権限の有無を調査しなければならない(不動産登記法24条1項)。
登記官による本人確認が問題となる場合は、具体的には次のような場合である(不動産登記事務取扱手続準則33条)。
- 捜査機関その他の官庁又は公署から、不正事件が発生するおそれがある旨の通報があったとき。
- 申請人となるべき者本人からの申請人となるべき者に成りすました者が申請をしている旨又はそのおそれがある旨の申出(不正登記防止申出)に基づき、当該不正登記防止申出に係る登記の申請があったとき(当該不正登記防止申出の日から3月以内に申請があった場合に限る)。
- 同一の申請人に係る他の不正事件が発覚しているとき。
- 前の住所地への事前通知をした場合において、登記の完了前に、当該通知に係る登記の申請について異議の申出があったとき。
- 登記官が、登記識別情報の誤りを原因とする補正又は取下げ若しくは却下が複数回されていたことを知ったとき。
- 登記官が、申請情報の内容となった登記識別情報を提供することができない理由が事実と異なることを知ったとき。
- 上記に掲げる場合のほか、登記官が職務上知り得た事実により、申請人となるべき者に成りすました者が申請していることを疑うに足りる客観的かつ合理的な理由があると認められるとき。
また、登記官は、申請人又はその代表者若しくは代理人が遠隔の地に居住しているとき、その他相当と認めるときは、他の登記所の登記官に不動産登記法24条1項の調査を嘱託することができる(同法24条2項)。 |