相続税は、各納税義務者が納付期限内に金銭をもって納付することを原則としているが、金銭納付の例外として物納制度が認められている。物納制度は、相続税だけに設けられている制度である。
相続税の課税財産には、換金しにくい土地や家屋などもあり、延納の許可を受けてもその延納期間や分納期限までに納付することができない場合も予測されるので、この制度が設けられている。
すなわち、申告による納付税額又は更正、決定による納付税額を金銭で納付することを困難とする事由がある場合には、その納付を困難とする金額を限度として物納を申請することができる(相続税法41条)。
物納のできる財産及び順序は、次のとおりである。
- 国債及び地方債
- 不動産及び船舶
- 社債、株式、受益証券
- 動産
なお、抵当権が設定されている土地などの管理処分不適格財産については物納が認められず、市街化調整区域内の土地などの物納劣後財産については他に物納適格財産がない場合に限り物納が認められる。
物納財産の収納価額は、相続税評価額となる。 |